あらすじ
デンジたちによってコウモリの悪魔は倒され、コウモリの腹から救出されたパワーとニャーコ。デンジを騙したことに謝罪した後、約束していた「胸を揉ませる」ことを改めてデンジに伝える。
念願だった目標をやっと達成できると思い拳を上げて喜ぶデンジだったが、突如現れた“ヒルの悪魔”によって挙げていた右腕を喰われてしまう。
デンジは胸のスターターを引きチェンソーマンに変身しようとする。しかし、コウモリ戦で大量の血を消耗してしまったため、眉間から少しばかりのチェーンソーしか生えてこなかった。
ヒルの悪魔は、デンジは生かしてもいいが後ろにいるパワーとニャーコは殺すことを宣言する。そしてデンジは口にたまった血を吐き捨て、ファイトポーズをとり、ヒルの悪魔に飛び掛かる。
印象に残ったシーン2選
パワーの回想
パワーはコウモリの悪魔の腹の中で、ニャーコと共に過ごした日々を思い出していました。
ニャーコと共に過ごしていく中で、今までエネルギーとしてしか見ていなかった“血”が、自分の冷めた心身を癒してくれるものだと知ることができたのです。ニャーコを包み込みながらニャーコの中で流れる血を体表越しに感じていることで、ぬくもりを感じることができました。
ここでパワーは、ニャーコを包み込みながらまるで「胎児のような姿勢」で丸まりながら寝ています。これは、リラックスできる姿勢で心身の緊張をほぐすことができる寝相だそうです。おそらくパワーはこれを無意識にとっているのでしょう。そして、その体勢で寝ていたのは、“意識は悪魔”だけどその“器は人間”だから、心と体が完璧にあっていないせいで、目に見えない潜在的な疲労感などが蓄積されていたからではないかと思いました。
人間の恐怖など負の感情で産まれてきて、それらにより力を増す悪魔だからこそ、その対極にある優しさや愛情などにすごく飢えているのかもしれません。
臓物の海でパワーを抱きかかえるデンジ
パワーは回想を終え、意識を取り戻し目を開けると、抱きかかえながら自分の目覚めのも見守っているデンジがいました。パワーとデンジの間には鳥かごに入ったニャーコもいて、ニャーコもまた目覚めるのを待ってくれていました。
デンジはまるで幼子が寝ているのをそっと見守る保護者のような、優しい表情を浮かべていました。デンジがパワーを助けたのは、もちろん胸を揉むという目標を達成させるためです。しかし、この表情が自然と出たのも、パワーも自分と同じで大切な存在を失いかけた奴だと感じたからではないでしょうか。
また、第7話でのデンジの子ども時代の回想シーンで、パワーと同じような退治姿勢でポチタを包み込みながら眠りについています。この二人は孤独感を共有しています。その孤独感を埋め合わせてくれていたのが、ポチタとニャーコでした。
そして、その感情に寄り添うようにポチタとニャーコもそばに居たと思います。パワーの目覚めを待っていたニャーコの様子も見て、デンジは優しい表情で目覚めを待つことができたのだと思いました。