こちら記事では【漫画版】チェンソーマンの内容に触れております。まだ、これから本編を読まれる方、結末を知りたくない方は読むことをおすすめいたしません。また、私自身の勝手な解釈も含まれています。
本編を読まれていない方は、ぜひ読んで見てください!!
あらすじ
銃撃に遭ってしまったマキマと同様に、他の第4課のメンバーたちも同じ時間に襲撃にある。そして、その銃声は町全体に大きく響き渡る。
「なんだこん音……」とデンジたちはその音を正体を気に留めることもなく、食事を続けるのであった。そんな中、食事中の会話を遮るように、隣の席に座っていた男が話しかけてくる。
その男はラーメンをすすりながら、自分の注文したラーメンに対し「ここのラーメンよく食えるな……味ひどくないか?」と難色を示してくる。急に話に入り込まれ困惑する姫野たち。変人に絡まれたと思い、店を出ようと提案するアキ。
その男は、1枚の写真をデンジに見せる。
そこには、幼少期の男と、その祖父らしき人物が写っていた。
なんとその男は、第1話で登場したヤクザの孫であり、「銃の悪魔はテメェの心臓が欲しいんだとよ」と発言する。
そして、懐にしまっていた銃でデンジたちに向かって発砲する。デンジは頭部を撃ち抜かれ、姫野は胸を撃ち抜かれる重傷を負う。
咄嗟に動いたパワーは男の顎を下から殴り体勢を崩し、その隙にアキは狐の悪魔にその男を捕食させた。
アキは重傷を負っている2人に注意を払っていた束の間、捕食した狐の悪魔の頭部を刃物で斬り刻み、その男は出てきた。
その姿は、デンジと同じ悪魔でも人でもない武器をかたどった人間であった。
それを目撃したアキは、パワーに2人の出血を止めるよう指示し、姫野から使用を止められていた刀を抜くのであった。
印象に残ったシーン
町に響き渡る7つの銃声-日常の中にかき消されるー
第4課のメンバーたちは町中をパトロールしたり、事件現場で取り調べをするなど各々の仕事をこなしていた。
その中には、コベニと荒井が老婆に道を尋ねられ、それに応えている何気ない日常の1コマが描かれていた。
しかしページをめくると、先ほどまで道を尋ねていた老婆が懐から拳銃を取り出し、コベニたちに向かって発砲しよう銃を構える。

他の第4課のメンバーたちも同様に襲撃に遭うのであった。発砲されるシーンは映ることなく、町を見渡せる坂道から「パン」という銃の発砲音だけがこだまする。コベニと荒井を含め、6名が被害に遭った。しかし、発砲音は7つ描かれている。
同時刻、デンジたちは食堂で食事を摂っていた。デンジ、アキ、パワー、姫野の4人はこの時、同僚たちが銃撃に遭っていることなど知る由もなく、パワーが「太鼓の音じゃ」と発言したことで、アキも近くで祭りがあると思い込んでしまっている。
そして、その話題から前日デンジが姫野の家にお泊りしたことについて話が切り替わっている。
「銃の悪魔」の出現により、チェンソーマンの世界では銃について情報発信などは規制されている様子であった。そのため、普段の生活から銃に関することを連想させることは難しいと思われる。
銃の悪魔の肉片集めをしているものの、まさか自分たちが銃撃に遭い、しかも悪魔ではなく人間にだなんて、日々変わらない日常を送っていれば想像もつかないことだろう。だからこそ、この「パン」という発砲音を聞き流してしまうのもごく自然なことだ。
このシーンを見た時私の反応……
初見でこのシーンを見た時、とてもショックを受けた。
前の話では登場人物たちが仲良く飲み会をしていて、これからこのキャラクターたちの深掘りがされていくのかな、と思っていた。まさかこんなにもサラッと物語から退場させられるだなんて思いもしなかった。
無難な生活を送っていたのに、急にそれが終わってしまうというこのシーン。パニックホラーのような一瞬の恐怖ではない。日常の中ですぐには分からないけれど、ジワジワと感覚に浸透してくる怖さを感じた。
デンジたちも、銃声の音にピンと来ておらず、「パン」という音を自然と太鼓のことと認識し、近くで祭りでもしているのかと連想している。

当たり前だった平和がこれからも続く…という認識が崩れさり、急に命の危険にさらされる非日常に引きずり込まった、というのとんでもないギャップ。
こういう恐怖は、本当はすごく身近に存在するはずなのに、それを忘れて自分たちも生活を送っている。今日自分がこの世からいなくなってしまうだなんて、誰が毎日想像しながら生きているだろうか。
毎日のルーティンを無難にこなし、「退屈」と感じることができているのも、本来なら異常なことなのかもしれない。そう思わざるおえないシーンであった。
だからこそ身近にお世話になっている人には、一言でも感謝の言葉を送って生きたい……素直にそう思えた。
デンジと男-お互いに大切な存在を失いつつも対立する関係性-
この2人の対立構造は、お互いの大切な存在を奪われたことに起因している。
男はラーメンをひどい味と評し、デンジはフツーにうまいという。
男はバカ舌だと幸福度が下がるという。写真をデンジに見せるまで視線はデンジ向けておらず、デンジが〇したヤクザの祖父の話を聞かせる。
デンジには人間とも思わない捨て駒扱いをしていた悪魔のようなヤクザでさえも、自身の孫には甘く、とても懐かれている印象であった。
この男自体も、デンジによって家族を失ってしまったという意識があり、銃の悪魔の意思というより、単純な復讐心での行動だと思われる。
そしてデンジは、この男の祖父であるヤクザと契約をしたゾンビの悪魔によって、自分とポチタの命を奪われた。命に加え、この男の祖父は、デンジとポチタ2人で幸せに生きていくという未来を奪った張本人である。
男が祖父のことについて語り始めてから、今まで男の話に興味を示さなかったデンジが口を閉じる。じっと男の話に注目している様子が描かれている。
男はデンジに写真を見せた瞬間、ヤクザの顔を思い出し、「なんのつもりだテメェ……」と男にメンチを切る。
男が自身の育ちの良さについて語っていたところから、ヤクザの祖父の話に切り替わったタイミングで、デンジ自身身構えているように見えた(この段階で殺気を向けされていることに気付いたのだろうか?)。

男は、ヤクザである祖父の行いを良いものとして肯定し、「正義のヤクザ」と称している。男の話から、その祖父から愛情を注がれている印象を受ける。しかし、デンジはその祖父から限界まで搾取され、結果命すら奪われることになった。

読者である私から見たらゾンビになってしまったヤクザを倒したデンジはヒーローに見えるが、男から見たデンジは、愛するじいちゃんを〇した大悪党に見えてしょうがないだろう。
正確にはポチタはデンジの心臓として生きているが、二度とお互いに大切な人とは会うことができないという境遇は、デンジもこの男も共通しているはずなのに…。こうやって人間の憎しみの負の連鎖ができていくんだ、と思った。
そして、共通しつつも対立している構図を見せるため、男はこの話のラスト1ページで、刀のような悪魔に変身している。

頭部と両腕から刀が生えており、まるでデンジが電ノコの悪魔に変身した時に酷似している。そう考える、男もデンジ同様に自身の心臓を失い、ポチタのような悪魔の心臓を得ているのかもしれない。
加えて変身した時の体の向きが、デンジが初めて電ノコの悪魔に変身した時の逆向きになっており、デンジと男で向き合うように描かれている。デンジがポチタから「デンジの夢を見せる」という契約を結び心臓を授かった。そして、電ノコの悪魔に変身した時から、この男との因縁が始まっていたのかもしれない。