こちら記事では【漫画版】チェンソーマンの内容に触れております。まだ、これから本編を読まれる方、結末を知りたくない方は読むことをおすすめいたしません。また、私自身の勝手な解釈も含まれています。
本編を読まれていない方は、ぜひ読んで見てください!!
あらすじ
「永遠の悪魔」に追い込まれてしまい、デンジを悪魔に喰わせようと慌てるコベニと荒井。それに対しアキは、奥の手である刀を使おうと姫野に許可を取るが、姫野はそれを止める。
刀を使用すると、アキの寿命をかなり縮めてしまうから…。そして、デンジを殺そうとする三人。デンジを包丁で刺そうとするコベニから、デンジを庇ったアキ。アキは脇腹を刺されながらも、寿命を減らしてでも「銃の悪魔」に対抗できるかもしれないデンジをこの場で死なせない、と今まで言わなかった自身の想いを吐く。
思わぬ出来事で取り乱してしまう姫野たちだったが、結局デンジは悪魔に喰われる選択を受け入れる。しかし、今までの永遠の悪魔の言動から思惑を察したデンジは、悪魔の口に飛び込みチェンソーの悪魔に変身する。そしてデンジは、チェンソーで斬り続け、痛みに耐えられらないほどの苦しみを与え、自〇させる作戦に出る。
印象に残ったシーン 3選
アキが刺されて、分かりやすく取り乱す姫野
アキに刀を使わせ、アキ自身の寿命を減らさせるくらいなら、デンジを悪魔に喰わせる選択を取った姫野。幽霊の悪魔の力を使い、アキに刀を抜かせないよう捕縛する。その時の表情は非常に冷淡なものであった。
しかし、コベニに刺されそうになったデンジを身を呈して庇ったアキ。わき腹から血を流しているアキを見て、姫野は今まで殉職したバディたちに加え、そこにアキの墓もたてられている妄想を瞬時にしてしまう。
床にへたり込んで、先ほどまで冷淡な表所をしていたのが嘘のように目に涙を浮かべながら「どうしよう」と、パニックに陥る。
この冷淡な表情から気が動転するまでに、2pも挟んで反応が描かれている。アキが刺され重傷を負ったことを受け入れられないのと同時に、そのケガを作る原因の一端になってしまっていることを受け入れるのに、脳の処理が追い付かなくなってしまった。
そして、(アキがこのまま亡くなってしまうのではないか)、という過去のバディたちの墓の隣にアキの墓も建てられているイメージが、姫野を現実に引き戻してくれた。そして、体の脱力と共に床にへたり込んでしまい、現場の状況関係なくアキの心配をするように描かれているように見えた。
姫野がアキに刀を使わせたくなかったのは、「まだやらなくてはならないことがあるアキの寿命が減ってしまうから」とデンジに説明して、デンジを犠牲にして自分たちだけ助かろうとしている。しかし、アキ自身はデンジを「銃の悪魔」との戦いでの一戦力として考えており、自身の寿命を削ってでもデンジを助ける必要がある、と重傷を負った状態でメンバーたちに話している。
この場では、アキは自分の気持ちに正直な言葉を発していたと思う。だが、姫野は違う。姫野はアキの銃の悪魔を倒すという目標を盾に、(アキを死なせたくない)という自分の想いを優先させたのではないか、と思った。
この生死を迫られる場面では、デビルハンターとして悪魔を討伐するという責任よりも、自分のバディをこれ以上死なせたくない、という人間味のある部分が勝ったから、アキを拘束した。しかし、アキがデンジを自分を傷つけてでも守ったことで、デビルハンターとして責務、バディを守るという建前、どちらも取ることができずに、結果一番避けたかったアキを死なせかねないことになった。アキと姫野がバディを組む期間はおそらく長く、アキがデビルハンターをする目的についても聞いているはず。
そして、「銃の悪魔」と戦う前哨戦のような場所で、自分自身が守ろうとしていた人の目標を途絶えさせることになったかもしれない。そんな様々感情が入り混じり、脳の情報処理が追い付かなくなり、2pもの間で呆然自失し、墓のイメージが意識を現実に引き戻し、結果としてパニックに陥ったのではないかと思った。
しかし、追い込まれな状況下で周囲に取り繕っていたメッキが剥がれて、素の想いや感情を打ち明けるシーンはとても良かった。姫野がアキを瞬時に拘束し刀を抜かせなかったのも、今までバディを失ってきた後悔からくるもので、考える前に行動していたのだと思う。土壇場で自分の気持ちを優先し、その想いをブレさせず瞬時に行動できるのも、姫野というキャラクターの魅力なのかもしれないと思った。だけども、2人の想いは相容れないものだった。
「永遠の悪魔」のペースに呑まれないデンジとパワー
他のメンバーが悪魔側のペースに呑まれているのに、異常なデンジとパワーが8階においては冷静な立ち回りをしているの面白く感じた。
コベニに刺されそうになったデンジはアキに庇われ、アキは大量に出血する重傷を負う。そんな中、アキは重傷を負いながらデンジへの想いを伝えた後、デンジはアキを見ながら顔を歪ませる。
しかし、それも一瞬。すぐさまパワー(血の魔人)に自身の能力を使って血を止めるように指示する。それを軽く了承したパワーは、アキの傷口に手を当て止血を試みる。その時、姫野を含め他3人はこの状況ができ上がったことに混乱している。
この時、姫野はパニックに陥り、コベニと荒井はアキに視線を向けている。しかし、パワーはパニックになっている姫野に視線を向けている。
パワーも急にパニックになって姫野に驚いているだけかもしれないが、案外冷静な立ち振る舞いをしている。普段の描写ならパニックに陥っていることを嘲笑すると思われる。しかし、人間の負の感情が大好きな魔人のパワーが、アキの人命を優先させている(アキがいなくなると自分の食事を作る者がいなくなるため)。
この、人間の姫野が自分の感情でアキを危険の状況に追いやっている、そして魔人のパワーが主観を交えつつも現場の状況を見て、アキの傷を手当てしている対比が面白く見えた。
また、デンジに関してはアキが刺された直後、すぐさまパワーに止血をできるか指示を飛ばし、真っ先にアキの人命を確保しようとしている。加えて、「永遠の悪魔」と対決するまでに、他のメンバーが悪魔のペースに呑み込まれ不安や恐怖を抱いている中、デンジは悪魔側の言動を一つひとつ冷静に観察していた。
悪魔がデンジをメンバーたちを使って倒そうとしていたのも、チェンソーの力を恐れているからであり、悪魔側に何らかの思惑があると察する。そして、姫野の攻撃で悪魔も痛覚をもっている、というわずかな情報から勝機を見出した。このわずか時間で立てた作戦が、痛みに耐えられなくなるまでチェンソーで斬り続け、自〇させるとうものだった。
メンバーたちは口をあんぐりさせ、パワーも落ち着いた様子で「悪魔みたいな発想じゃな‼」と発言する。
作戦開始時は、異質感のある2人だった。しかし、この8階内では悪魔側にペースを握られず、我を通せる2人が冷静に状況を分析できている。「コウモリの悪魔」戦でもデンジのバトルIQの高さを感じさせられた。
アキに庇われたデンジの反応-永遠の悪魔の口に飛び込むときの笑顔
ある作戦を立て、「永遠の悪魔」の悪魔の口に飛び込む際、デンジは重傷を負い苦しんでいるアキの方に一瞬目をやる。そして、「テメェ俺を庇いやがって…」「余計な事すんじゃねえよ糞が 俺ぁ誰かに借りを作んのはも~ウンザリなんだよ」と、アキに向かって言う。
「外に出れたら貸し借りナシだからな‼」と言い終えた後、再びアキの方に目をやり、チェンソーのスターターを引き、悪魔の口めがけて飛び込むのだった。その時のデンジの表情は、笑っているように見える。
この「借りるのはウンザリ」というセリフは、第1話で自分を命がけで助けてくれたポチタ、そして今回包丁で刺されそうな自分を守ってくれたアキとを重ねて出てきた言葉ではないかと思った。
周囲から真っ先に生贄にされそうになっているそんな中、自分の力を必要として、身を呈して庇ってくれたことが何よりうれしかったのではないか。第1話でも周囲の大人からは使い捨て道具として認識されていなかったデンジが、アキの自己開示により本人の想いを知ったこのシーンは、デンジにとっては包丁で刺されることよりも不意打ちを食らったことでしょう。
そのため、悪魔の口へダイブする時に笑顔になっているのも、四面楚歌だと思っていたこの状況下で、助けてくれる人がいたことが純粋に嬉しかったからではないか。そして、その感情が自然にこぼれてしまったからこその笑顔だったのだと思った。