こちら記事では【漫画版】チェンソーマンの内容に触れております。まだ、これから本編を読まれる方、結末を知りたくない方は読むことをおすすめいたしません。また、私自身の勝手な解釈も含まれています。
本編を読まれていない方は、ぜひ読んで見てください!!
あらすじ
デビルハンターのスーツのおかげで、男の居合切りに何とか耐えることができたアキ。
しかし、息は絶え絶えとなり、立つこともままならず床に膝をついてしまう。男はアキの背後に近づいていき、女の指示でトドメを刺そうとする。
自身の命も危うい状態でありながらも、アキを助けて欲しいとパワーにお願いする姫野。だが、男の居合切りは魔人であるパワーにも視認することができなかった。姫野が契約を交わしている「幽霊の悪魔」は、男にではなく女の方に恐怖心を抱き動けずにいる。
そして、パワーの血を制御する能力だけでは間に合わず、重傷を負った姫野の体は限界に達し、ついには吐血してしまう。虚ろになる姫野の視線の先には、今にも男にトドメを刺されそうなアキの姿があった。
「私の全部をあげるから……ゴーストの全部使わせて……」と、幽霊の悪魔と取引をする。幽霊の悪魔はニタリと笑い、今まで見せていなかった全身を男たちの前に現した。
無数の手で男に襲い掛かり優勢になっていく一方、姫野の体が徐々に消えていく。あと一歩のところまで男を追い詰めることに成功する。
しかし、「ヘビ 丸呑み」という女の一言でどこからともなく現れた「ヘビの悪魔」によって、幽霊の悪魔は飲み込まれてしまう。そして、幽霊の悪魔が消えたと同時に、姫野は身に付いていた衣服のみ残し、この世から姿を消してしまった。
だが、姫野の最期のあがきにより、幽霊の左手を行使し、〇んでいたデンジの胸のスターターを引っ張る。それにより、デンジは復活。電ノコの悪魔に変身し、男に襲い掛かる。
印象に残ったシーン
「全部あげるから…」で笑顔になった幽霊の悪魔
男の祝い切りを見切ることができなかった姫野。同様に、魔人であるパワーも男の攻撃を目視できなかった。加えて、姫野と契約をしている幽霊の悪魔は、男の近くにいる女を危険視し、どちらに頼んでも動けない状況に陥ってしまった。
次第にパワーの能力で抑えられていた負傷が症状として表れ始める。姫野の体から脂汗が滝のように流れ、内臓も負傷したのか吐血も止まらずにいる。
目も虚ろになり、視界がぼやけていく中で、視線の先には今にも男にトドメを刺されそうなアキがいた。自身の手の平から流れ落ちる血をじっと見つめ、姫野は覚悟を決める。
「私の全部をあげるから……ゴーストの全部使わせて……」
その言葉を聞き入れた幽霊の悪魔。得体のしれない女のことが恐ろしいと言い下がりきっていた口は、徐々に口角をあげていき、不気味にニタリとした笑いに形を変化させた。
今まで右手だけした姿を現さなかった幽霊の悪魔は、姫野の取引通りに全身を現す。その姿は、両目と口は張り付けたような笑顔でそれらは糸で縫い付けられている。首より下は大量の花に覆われ、さらにその下は無数の腕がその巨体を支えている。
悪魔らしいだけなのか
ここで疑問に思った。
幽霊の悪魔はなぜここでニタリと笑ったのか?
悪魔の好物は人間からの恐怖心などのマイナス感情であり、それにより強くなると作中で説明されている。
ここで幽霊の悪魔がニタリと笑ったのは、姫野との取引で「姫野のすべて」を貰えるから、というのも一つの理由と思われる。そして、もう一つの理由は取引の際に姫野から発せられた感情によるものだと考える。
その感情というのは、アキを自分の目の前で〇なせてしまうことへの恐怖心だと考える。姫野のアキに対する依存と執着は、作中でもよく描かれている。
特に、「永遠の悪魔」戦では、アキが大量出血した際、「このまま〇んでしまったら…」と周囲の反応を考えず狼狽えているシーンが描かれている。
他にも、姫野の回想では、アキ自身に気持ちの面で救われている描写も短いスパンで多く描かれている。そして、今にも敵に〇されそうになっている大切な人と、重傷を負って助かるか分からない自分とを天秤にかけた姫野は、それだけ大切なアキを失って生き残るぐらいなら…自分の全部を失ってでも、大切な人に生き残って欲しい、と幽霊の悪魔と取引をしたのではないか。

幽霊の取引の際に、姫野の恐怖心と覚悟が入り混じった感情を察知したことから、物理的な代償だけでなく、感情の面でも儲けることができたという損得勘定から、幽霊の悪魔はニタリと笑ったのではないか。
また、姫野が消え去ってしまう際、「私が〇んだ時、泣いて欲しいから…」とアキに対し、今まで自分の心の底にあった想いをぶちまけている。そして、その告白をかぶせる様に、無情にヘビの悪魔に丸呑みされてしまう幽霊の悪魔。それ共に、アキの目の前でこの世から消え去ってしまった姫野であった。姫野願いとは裏腹に、アキは目の前で消えてしまった先輩に涙をすることができなかった。

アキ自身、奥の手を使って倒した敵が復活し、その敵に致命傷を負わされ、仲間に死傷者が出ており、その仲間が契約していた悪魔と取引して目の前から消えてしまう等ということが、短い時間で一気に起こってしまったのだ。自分の呼吸を整えることに精一杯の状態で、急に先輩からの魂からの告白を受けても、感情を表に出すのに時間がかかってしまうのは仕方のないことだと思った。
この世から消え去ってしまう際に、姫野にとってアキに思われながら逝くというのは、絶望の中でのささやかな願いだったのだろう。しかし、それも叶うことはなく、消えてしまった。これは、アキを失ってしまう恐怖心と、自分の全部を使ってもこの場ではアキを助けることができなかったという、姫野の絶望を喰らえた幽霊の悪魔にとっては、今回の取引は儲けだったのだと思う。
そして、このような理不尽さがこのチェンソーマンという漫画では普通なのだと、改めて思わされたワンシーンでもあった。
幽霊の悪魔の外見で面白い点
この作品での悪魔は恐怖のイメージで実体化していると思われる。

そのため、幽霊をイメージする時の特徴である透明感が見られない。しかし、「足がない」という点においては、チェンソーマンで描かれている幽霊にも当てはまっている。作中では、幽霊の悪魔の体から無数の腕が生え、それらが巨体を支えている。また、この特徴から異様な不気味さが加わり、幽霊の悪魔と対峙している敵にも、第一印象で恐怖心を与えられているのではないかと思った。そのお陰で、男をあと一歩のところまで追いつめることができたのかと思う。
そして、両目と口が縫い付けられているという特徴について。

「〇人に口なし」ということわざのイメージからこのデザインになったのだろうか。作中では、男をあと一歩のところまで追い込んだ際、縫い付けられている口を開けている。追い詰められ命の危機に瀕している男をあざ笑っているのか、それとも男を捕食しようとしているのか。命を弄んでいるので笑っているのであればとても悪魔らしい。
そして、男を食べようとしていたのであれば、これも面白い。男を食べようにも口に縫い付けられた糸が邪魔で男を食べることができない。それに、捕食するのは生き物がエネルギーを補給する時に必要な行動だけれど、幽霊はすでに生命活動を停止し、エネルギー補給を必要としないもの、というイメージがある。幽霊が生き物に取り付いたり、呪ったりするイメージはあるけど、捕食するイメージはない(私の中では)。
しかし、幽霊の悪魔はチェンソーマンの世界では生き物のカテゴリーなのだと思う。だが、口に糸が縫い付けられていたり、捕食するイメージがあまりないせいで、悪魔としての生命活動をするのに支障をきたしまくりなのでないか、と面白く思った
アキへの最期のメッセージ さだまさしの「関白宣言」っぽい
姫野が瀕〇のアキの目の前から消え去ってしまう前に言い放った「アキ君は〇ないでね…私が…〇んだ時さ…泣いて欲しいから」。姫野自身の脆さ・弱さ、そしてアキへの深い依存心。今までアキに伝えられなかった不器用な愛情を、こと切れる寸前にできる限りの笑顔を作って、想い人のアキに対して言っている。
アキのことはよく見えていたけど、自分のことは〇ぬ寸前まで見えていなかったのかもしれない。最期の言葉だからこそ、姫野の底にあった「思って泣いて貰えたら嬉しいだろうな」という感情と共に、正直に伝えることができたのではないかと思った。
それと同時にこう思った。

姫野の人物像がなんだかさだまさしの『関白宣言』の歌詞みたいだな
関白宣言の最後の歌詞と、姫野の心境がピッタリとかみ合っているように感じた。
俺より先に〇んではいけない
例えばわずか一日でもいい
俺より早く逝ってはいけない
何もいらない俺の手を握り
涙のしずくふたつ以上こぼせ
お前のお陰でいい人生だったと
俺が言うから必ず言うから
忘れてくれるな 俺の愛する女は
愛する女は 生涯お前ひとり
忘れてくれるな 俺の愛する女は
愛する女は 生涯お前ただ一人